WINとは、ウェアラブル・インフォメーション・ネットワークに関する技術、製品、事業、市場等の社会システムの現状及び将来像についての調査研究・普及推進等を行うことによって、新たなインフォメーション・ネットワークの学問体系及び事業/企業の創成を図ることを目的とした特定非営利活動法人「ウェアラブル環境情報ネット推進機構」です。
NPO法人WINは、東京大学をはじめ、国内外の14大学に在籍する研究者、エレクトロニクスや情報分野の企業など28団体が参加して 2000年8月に設立されました。
マイクロマシン技術、マイクロセンサ技術、ネットワーク技術の融合により、動植物、人間、人工物に微小端末(ネイチャーインタフェイサ)を付け、ワイヤレスでその状態のセンシングを行う「ウェアラブル・インフォメーション・ネットワーク」に関するサービスの開発などを行い、特に人間の健康・福祉の向上と環境の保全に貢献することを目的としています。
腕時計のような小型センサーを人が身につけて、位置情報を送ったり、体調をモニタリングしたりして、事故防止や体調管理に役立てます。動物、植物から、交通、生産現場、病院、人、人工物に至るまでさまざまな物や場所をネットワーク化して、情報を活用するシステムを構築します。またダムなどの遠隔監視を行い、情報管理することで防災につなげます。このように、「ウェアラブル」をキーワードにした装着型のITシステムを社会に広めていきます。
NPO法人WINは図1に示すように、大学の知を社会に還元することも目指しています。大学と社会の関わりについては、従来は大学と学会を結ぶ学術分野がほとんどでした(学学連携)。最近になって技術移革機関(TLO)などによる産業界との連携(産学連携)が注目を浴びていますが、WINは、より広く大学と社会が連携する仕組みをNPOという形で実現するために、「社学連携」という言葉をつくって取り組んでいます。
NPOはその名が示すとおり、営利を目的としない組織です。しかし公益事業を実現する上に必要な資金を獲得するために収益事業も行うことが認められています。日本では阪神淡路大震災のあと、1998年に「特定非常利活動促進法」(NPO法)が成立しました。しかし、当時は科学技術の開発を目的とする活動という項目はありませんでしたので、環境・健康・福祉などを目的とするNPOとしてスタートしました。やがて WINの科学技術への取り組みが認知され、2003年5月には、NPOに関する法律が改正されて、研究開発型 NPOがNPOの中で認知されました。明確なミッション(使命)を持ち、それを共有して、大学を中心とした参画企業間の利害を超えた協働により、技術をベースにした社会イノベーションを目指します。